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膀胱炎の原因

 

猫の膀胱炎には特発性、細菌性、尿路結石が関係するものなどいくつかの原因が挙げられますが、今回は若齢から中年齢に多く見られ、猫の膀胱炎の半分以上をしめる特発性膀胱炎について詳しく解説させていただきます。

 

(膀胱炎の原因として挙げられる尿石症については、西村先生のコラムをご覧ください。)

特発性膀胱炎

臨床徴候としては、トイレに入る回数が多くなる、尿に血が混じっている、排尿時の痛み、トイレ以外での排尿などがあります。

どんな年齢、品種、性別の猫でも発症する可能性がありますが、若〜中年齢での発生が最も多くなっています。

残念ながら特発生膀胱炎をピンポイントで診断する方法はなく、問診や身体検査、神経学的検査、画像検査、尿検査などで他の疾患を除外できた場合に診断することができます。

特発生膀胱炎を発症する要因の1番の原因は、ストレスと言われています。猫を取り巻く生活環境の変化や、トイレが気に入らないなどが大きく関係していると言われます。その他には、水分摂取量が少ないことや、肥満傾向であること、神経質で怖がりであることなどもリスク要因として挙げられます。

治療としては、多面的な生活環境の改善、食事療法、食事の与え方の見直し、ストレス軽減効果が期待させるサプリメント、鎮痛療法、抗うつ薬の内服などがあります。

その中でも、生活環境の改善は、ストレスの原因を減らしてあげることで、特別な療法食やお薬を使わなくても症状の回復が見込めることがあります。また、猫にとってストレスの少ない環境を用意してあげることで、再発の防止にも繋がります。

 

猫にとってストレスの少ない環境とは?

ストレスの少ない環境づくりと言っても、様々な面からの工夫がありますが、今回はトイレ環境について少しお話ししたいと思います。

まず、おすすめの設置場所としては、「匂いの篭らない風通しが良い場所」「静かに隠れられる場所(部屋の隅や廊下の端、階段下の陰など)」「2階建ての場合各階に置く」などが挙げられます。

トイレの個数は猫の数+1つ用意し、トイレのサイズは体長の1.5倍ほどが理想的で、頭から尾の先までぐらいの長さがあると良いです。

また、猫砂のコンディションもトイレの好き嫌いを大きく左右します。猫砂を清潔に保つために、できる限り排泄するたびにおしっこやうんちを取り除いてあげましょう。猫砂はおしっこやうんちがついた部分だけ捨てれば良いですが、トイレも週に1度くらい洗ってあげて、清潔に保つことが大切です。

食事の与え方の工夫・食事療法

猫の飲水量が少ない場合、増やす工夫をしてあげることも大切です。様々な工夫がありますが、「水は継ぎ足さず新しいものに変える」「引水用のフードを変えてみる」「循環式の容器を使う」「水飲み場を複数用意する」「ぬるま湯にする」「フードをウェットフードに変える」などが挙げられます。

食事療法としては、オメガ3脂肪酸やトリプトファンなどの、ストレスケアや膀胱の抗炎症作用を期待できる栄養素を含むフードを試していただくのが効果的です。各メーカーのサンプルもあるのでお気軽に試して頂けたらと思います。

 

お薬・サプリメント

膀胱の痛みの軽減や炎症を抑えることを目的に消炎鎮痛剤などを使用します。疼痛を放置することによっておこる生活の質の低下なども防止します。

 サプリメントとしては、ストレス軽減を目的としたものがあり、スプレータイプのものや、内服するタイプのものがあります。

 

 

上記に上げさせていただいた、トイレ環境の改善は、猫ちゃんにとってストレスの少ない環境作りの一部にすぎません。その他の環境作りや、療法食、お薬、サプリメントなどについても、獣医師からお話させて頂きますので、気になることはお気軽にご質問していただけたらと思います。

 

トイレに入る回数が多くなる、尿に血が混じっている、排尿時の痛み、トイレ以外での排尿など、おしっこに関するトラブルがみられた場合は、お早めに獣医師にご相談ください。