トイレに頻繁に
行くときは注意!
今回は犬と猫の尿石症についてお話ししていきたいと思います。
おうちのわんちゃん、ねこちゃんが長い時間おしっこポーズをとったり、さらにそれを頻繁に繰り返している場面に遭遇したことはないでしょうか?それは排尿トラブルのサイン!もしかすると尿石症が原因かもしれません。
尿石症とは
尿石症とは、泌尿器である腎臓、尿管、膀胱、尿道のいずれかに結石が生じてしまう病気です。
症状は結石が存在している場所によって異なりますが、膀胱結石であれば、頻尿、血尿、排尿時の疼痛などを認めることが多いです。
また尿管結石や尿道結石が尿路を閉塞させてしまうと、急激に容態が悪化し、急性腎不全や膀胱破裂といった非常に深刻な状態になる可能性もあります。
原因は主に遺伝的な体質が影響するとされていますが、その他にも飲水不足、フードの成分、尿路の感染、あるいは代謝異常を引き起こす疾患(肝疾患、内分泌疾患 etc)などが関与することもあり、原因の対処が可能であれば治療、予防につながります。
診断
上記のような症状や徴候が認められれば、尿石症を強く疑い、診断のための検査を実施していきます。
主に尿検査、レントゲン検査、超音波検査を実施します。尿検査では結石の種類を同定することができ、レントゲン検査や超音波検査では、結石がどこに存在するか、どのくらいの大きさか、どんな形なのかを判断することができ、これらの検査結果によって治療方針を決定していきます。
治療
治療は結石の種類によっても異なります。
犬と猫の尿路結石にはストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、シスチンなどの種類があります。
中でも「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」が犬猫の結石の約90%を占めています(約90%のうちのストルバイトとシュウ酸カルシウムの発生率は国、地域、動物の年齢や性別によって多少の差はありますが、概ね半分がストルバイト、半分がシュウ酸カルシウムです)。そして、残りの約10%がそのほかの結石になります。
もし結石の種類がストルバイトやシスチンだと、療法食や薬によって溶かせる可能性があり、まずは内科治療を試みます。しかし、シュウ酸カルシウムなどの溶かすことができない結石は基本的には外科的に摘出する必要があります。また、溶ける可能性がある結石であっても、尿管閉塞や尿道閉塞であった場合には緊急的な手術が必要になることもあります。
また、手術を実施する前にも必ずお伝えしますが、尿石症は再発率が低くありません(シュウ酸カルシウムでは2年以内に約50%が再発...)。そのため体質以外に存在する基礎疾患を術前から治療、管理することも非常に重要になってきます。