みなさんはわんちゃん、ねこちゃんの適正な温度や湿度をご存知ですか?
診察の際にも比較的ご質問が多い内容かなと思いますのでこの機会にご紹介したいと思います。
私たちと違い、動物たちの平均体温は37.5℃~38.0℃、また動物たちは人とは異なる体温調節機能を持っており、その調節機能は種類や体型によっても違ってきます。季節の変わり目には体調を崩す動物が非常に多いという事実もあります。動物ごとの適切な環境条件を把握し、提供することが大切になってきます。
一般的には以下のような室温、湿度が犬と猫にとって適切とされています。 犬では、室温18℃~22℃、湿度40~60。猫では、室温20℃~28℃、湿度50~60と言われています。
しかし、あくまで目安であり、それぞれにあった適切な環境条件とは、いろんな要素を考慮した上で決定する必要があります。
それでは考慮すべき要素とはいったいどんなものでしょうか?
考慮すべき要素とは?
❶ 品種とサイズ
一般的には、小型犬や猫は体温をより早く失いやすく、寒さに敏感です。逆に大型犬は体温を効果的に保つことができますが、高温下では熱中症のリスクが増えます。短頭種(鼻ペチャ)で鼻孔、のどなどが狭い傾向のある動物もまた高温下において熱中症リスクが増えます。
❷ 年齢
若齢の子犬、子猫は体温調節能力が成犬、成猫よりも低く、基本的には暖かい環境を必要とします。高齢の動物や体調のすぐれない動物もまた、温度変化に敏感であり、特に寒冷や過度の暑さにさらされると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
❸ 被毛
長毛種は寒さに強いですが、短毛種は体温を十分に保つことできないことがあり寒さに弱いことがあります。
❹ 肥満度
体脂肪が多い動物は寒さに強いですが暑さには弱く熱中症のリスクが増えます。逆に体脂肪が少なすぎる動物は体温を保つことができないため寒さに弱いです。
❺ 季節
季節によって気温以外に湿度を考慮する必要があります。冬季は乾燥による影響、とくに暖房により乾燥が進むと呼吸器疾患や皮膚疾患を有する動物に悪影響を与える可能性があり注意が必要です。夏季の高温多湿は冬季以上に動物の体調に影響を与える可能性があり、適切な環境を提供しなければ基礎疾患のない動物でも大きく体調を崩すことがあります。
高温多湿による影響とは?
❶ 熱中症
❷ 外耳炎
低温による影響とは?
冬季は適切な室温を保つために暖房器具は必須になります。一方で空気の乾燥が助長されることで動物にも様々な影響が考えられます。
❶ 免疫力の低下
❷ 皮膚疾患の悪化
❸ 呼吸器疾患の悪化
❹ 脱水症状