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肥満とは

血中で過剰になった脂質は脂肪細胞に取り込まれます。脂質を取り込んだ脂肪細胞は肥大し塊となり、皮下や内臓に脂肪組織(体脂肪)として蓄積していき、これが過剰となった状態が肥満です。犬では適正体重の15%、猫は20%を超えた状態を肥満とみなします。

肥満は疾患

肥満は栄養障害をもたらす疾患とみなされる時代であり、糖尿病、高血圧、心臓病、変形性関節症、膀胱結石、不適切な体温調節などの合併症をもたらす可能性があるため注意が必要です。

肥満の原因

遺伝、去勢//避妊、運動不足、高脂肪食、高エネルギー食などが肥満の原因として挙げられますが、病気(甲状腺や副腎の病気、糖尿病など)が動物を肥満の状態にする可能性もあります。

副腎の病気や糖尿病は水をたくさん飲んで尿量が増えるのが特徴ですので、そういった症状を伴う場合には、必ず獣医師にご相談ください。

 

肥満の評価方法

肥満の診断はボディ・コンディション・スコア(BCS)という評価システムを用いて行います。

当院では5段階評価を用い、犬であれば、フィラリア予防時などに血液検査の結果とともにお伝えします。

BCS3をこえたら

ダイエット!

1. 健康状態を確認する

上記に挙げたように、肥満をもたらす病気が隠れていることもあるので、症状や健康診断を兼ねた血液検査で異常値が出たときなどは、基礎疾患を考慮に入れる必要もあります。

2. 食事療法

❶ 現在の食事を見直す

まずは、現状の食事内容が過剰でないか評価しましょう。ペットフードなら必ず適正量の表記があります。まずはそれを基準に毎日一定の量を与えましょう。動物個々の体質や運動量には差がありますので、BCSの増加を感じたらフードの量を減らしましょう。

従来は総合栄養食たるペットフードのみで必要な栄養は完結しますが、プラスαのおやつ類が過剰なため肥満となっている動物が多いように思います。間食を減らしたりやめたり、あるいは野菜などのカロリーが低いものにするだけでもかなりの効果が期待できますので是非検討してください。食べにくい器で与えて一気に食べ尽くさないように工夫するのも良いと思います。

 

❷ 減量用のフードを選ぶ

上記の方法でも体重管理が難しければ、やはり適切な減量用フードを選ぶことが大切になってきます。肥満は疾患とお話ししましたが、腎臓病や心臓病に療法食があるように肥満にも効果が期待できる療法食があります。最近ではトリーツなどのおやつ類にも減量用の製品が出ていますので、肥満だけどおやつが欠かせない...という子には安心して与えられます。

基礎疾患を持っているが肥満も解消したいという方には、昨年当院で導入いたしました「オーダーメードフード」サービスを試してみるのも1つかと思いますので、ご興味ありましたら当院スタッフまでお声がけください。

 

3. 運動

食事管理で少し減量できたら次に運動です。エネルギー消費量を増やす唯一の方法が運動です。犬であれば5〜7回/週、15〜30分の散歩、猫であればおもちゃで遊んであげたり、キャットタワーなどを用意してあげるのが良いでしょう。ただし、過度な運動を避けなければいけない疾患を持っている動物では無理はできませんので注意が必要です。