· 

#04

まだまだ認知度が低い

猫のフィラリア症

 近年、猫の飼育数が犬を上回っているという情報はいろんなところで目や耳にします。そして昨年の犬猫飼育実態調査によると、完全室内飼育の猫ちゃんは79.6%にのぼるようで、猫の飼い方の質が向上してきているのは喜ばしいことです。ところが、家庭猫の多くは予防医療をあまり施されておらず、中でもフィラリア予防をしている飼い主さんは25%程度にとどまっています。

本当に恐い

猫のフィラリア症

フィラリア症は犬では有名ですが、猫にも感染することがわかっています。猫のフィラリア症で見られる症状は咳や呼吸困難を除くと、嘔吐、食欲不振、体重減少、突然死などで、他の病気と区別しにくいのが特徴です。猫の場合も感染するのは犬のフィラリアですが、猫の免疫反応によって猫の体内ではフィラリア幼虫は死滅してしまい、成虫になれるのはごくわずかと言われています。そのために診断が困難で感染が目に見えて証明できず、架空の病原体として認識されているのかもしれません。しかし、その死滅した幼虫が肺に急性の炎症を引き起こし、犬糸状虫随伴呼吸器疾患(通称HARD)と呼ばれる咳や命に関わる重篤な呼吸困難を引き起こすのです。そして稀ではありますが成虫にまで成長してしまった場合、心臓血管に虫体が塞栓し突然死を招いてしまいます。

 

国内の感染状況

国内の猫の10頭に1頭がフィラリアの幼虫に感染していた」という報告もあり、当院では4年前から積極的に猫ちゃんのフィラリア予防を推進してきました。しかし架空の病原体なんかに自分の猫は感染しないという油断、室内飼育だから大丈夫という誤解が生じ、当院でもまだまだ予防率が低いのが現状です。

私は現在4匹の猫と暮らしています。他スタッフも複数人が猫を飼っており、総計10頭は超えるでしょう。10頭に1頭だけ?いやいや、1頭たりともフィラリア症で亡くしたくはないです。そう思うのは私だけでしょうか。米国ではフィラリア症に感染している猫の約27%が完全室内飼育であったという報告もあります。

今一度、フィラリア予防について一緒に考え直してみませんか?

とにかく予防が大切

現在、猫では首元に薬剤を塗布する滴下式の予防薬が主流です。お家では滴下が困難な猫ちゃんでも、病院では簡単にさせてくれることも多いです。そのためだけに来院いただいて結構です。一度病院に足を運んでみてください。