ウサギには
子宮疾患が多い!
雌のウサギは犬や猫に比べると子宮疾患の発生率が非常に高いです。
実に3歳以上の約50%、また5歳以上であれば約80%が子宮に何らかの異常を持っていることが報告されており、中でも「子宮癌」の発生率は年齢とともに上昇していくことが最近の研究でも報告されています。
近年では、飼育や管理に関する情報の浸透により、餌の質の向上やケア用品が充実し、平均寿命が伸びることで、逆に子宮のトラブルが増えているのが現状です。
子宮疾患の症状
ウサギの子宮疾患の症状は、一般的に始めは無症状ですが、ゆっくりと進行し、食欲不振、活動性の低下、血尿、乳腺の異常、排尿障害などの症状が出てきます。さらにウサギの子宮癌は1〜2年後に肺、肝臓、脳、骨などに転移する可能性があります。
子宮疾患の治療
治療は外科手術で子宮・卵巣を摘出することです。お薬などを使った内科的な治療法はありません。
ただし、症状が出てからの手術は全身状態の悪化や、高齢による腎機能、肝機能の低下などを抱えていることなどから麻酔のリスクが上がります。
健康なウサギと比較して、全身状態の悪いウサギでは麻酔の死亡リスクが11.3倍上昇するとの報告もあります。
子宮疾患を
予防しましょう!
病気を発症した際の麻酔・手術リスクを考えると、若い時期に避妊手術を実施してあげることが重要となります。
日本獣医エキゾチック動物学会(旧エキゾチックペット研究会)の報告によれば、ウサギの避妊手術は2歳未満、できれば6〜9ヶ月齢で実施することが推奨されています。
避妊手術の概要をご説明します。手術前には麻酔リスク評価のために、身体検査、血液検査、必要に応じてレントゲン検査を行い、全身状態を把握します。
手術当日は、午前中にお預かりし、お昼(午前と午後の診察の間)に手術を行います。
手術は全身麻酔をかけて完全に寝ている状態で行います。開腹し卵巣と子宮を一緒に摘出します。
術後、麻酔からの覚醒、回復が問題なければ、当日のうちに退院となります。縫合部を噛んでしまうおそれがあるときにはエリザベスカラーを装着します。
また、術後は胃腸機能が低下し、食欲不振となる可能性もあるため、その場合は通院での点滴や内服でケアします。
最後に、抜糸を術後7日〜10日ほどで行い終了です。