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以外に多い心臓病

人では三大疾病の1つに心筋梗塞が挙げられますが、実は動物たちの世界にも心臓の病気が少なくありません。動物の心臓病として代表的なものは、犬では「心臓弁膜症」、猫では「心筋症」が挙げられます。最近の報告によると、犬の「心臓弁膜症」の罹患率は約10%、猫の「心筋症」の罹患率は約15%とも言われており、長寿化に伴い犬猫ともに心臓病の罹患率は高くなっています。

 

進行するまで全く症状が出ない!

心臓病は、皮膚病のような外観の異常、あるいは胃腸疾患のような下痢、嘔吐などのわかりやすい症状は出ません。病気が進行した段階で、初めて咳などの症状が出ます。しかし多くの場合、食欲も元気もあり、体の中で心臓病が重度に進行しているようには感じられません。寝ていることが多いなどの徴候もまた、年齢のためと思われやすく、家族の方が初期から中期の心臓病に気づくことはほとんど不可能です。そのため、気づかないうちに心臓病が末期まで進行し、いよいよ呼吸困難に陥って初めて気づくことも少なくありません。呼吸困難に陥った場合、最悪その日のうちに命を落とすことさえある非常に危険な状態です。また、猫の心筋症では大きな血管に「血栓」が詰まり突然の下半身麻痺を起こすこともあり、こちらも命に関わる重大な合併症です。

心臓病を早期発見するために!

まず獣医師が動物の心臓を聴診することが重要です。心臓に異常音が聞こえる場合には心臓病である可能性が非常に高いです。しかし、すべての心臓病において必ずしも異常音が発生するわけではありません。特に猫の「心筋症」では異常音の検出率は30-60%と言われており、聴診のみで「心筋症」を発見することは困難です。そこで、最も有効なのが心臓エコー検査です。聴診はあくまで心臓病を疑うきっかけであり、心臓エコー検査は心臓病を確定させることができる非常に優れた検査です。動物の心臓病に力を入れている私としては、可能な限り早期発見してあげたいので、異常音が聴取されれば必ず心臓エコー検査を実施します。猫では心臓の異常音がなくとも、心筋症が多い猫種(メインクーン、ラグドール、アメリカン・ショートヘア、ノルウェジアン・フォレストキャットなど)、9歳を超える高齢猫、肥満猫などのリスクが高い猫では是非とも実施してあげたい検査です。心臓エコー検査を積極的に実施することで、早期の心臓病の発見につながればと思っております。上記の条件に当てはまらなくともご希望いただければ、いつでも実施できる検査ですので、お気軽にお声がけください。